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期待値を飛び越える

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期待値とは何か、から簡単に整理します。ウィキペディアによると、「確率変数の実現値を、確率の重みで平均した値」を期待値とされています。この説明はむずかしいですが、計算で求めることのできる期待値があれば、そうでないものもあります。前者であっても、求め方や確率を知らなければ、主観的に期待値を設定する、ということになります。この設定の仕方は、人により違ってきます。今回このブログを読んで下さる皆さんにお伝えしたい期待値とは、後者の方で私たちが取り組んでいる物販催事におけるお客様が抱く主観的な期待値の事です。
 
人は、サービスや商品を自分が期待した水準に達していなければ不満を抱き、水準どおりであれば満足する。期待をこえたときには、感動し、その感動を与えてくれた人や店舗のファンになるかもしれない。
 
私たちが1年以上、とある店舗様で物販催事を行ってきて感じた面白い部分でもあり、時に頭を悩ませ、成功と失敗を経験させて頂いています。同じ物事に対する期待値も、お客様によりバラバラで、「現実と期待値との差=がっかり」、また逆に「現実と期待値との差=よろこび」にもなります。誰もが知っている有名な商品を破格の値段で提供すれば期待値を超えられるのでしょうが、店舗様にも予算があり、私たちも頂いた予算の中で運営し期待値を超えなければなりません。
 
ある店舗様より全商品同じ価格でお客様に提供したいとの意向があり、催事を行った経緯があります。意図することはお客様に分かり易くという事でしたが、結果失敗でした。お客様の期待値を商品と価格の両方で常に越えることが出来ませんでした。肉でも魚でも野菜でも価格が毎回同じでは、妥当、普通、なかには不満と期待値を下回る結果となり、いちばんに物販催事の盛況感に繋げることが出来ませんでした。
 
もちろん、成功している店舗様もあります。この店舗様では新規会員獲得数UP会員来店数UP全体稼働率UP特定機種稼働率UP集客数UP商圏内支持率UP、と物販回数を重ねる毎に数値は右肩上がりです。何よりも30個限定商品を求めて平均60名以上のお客様が並び、多い時には90名を超えるお客様が参加されます。ある意味この参加人数が物販催事のバロメーターであり、お客様の期待値の表れだと感じています。だからこそ参加人数が少ない時には反省し次回開催に向け準備を進めることが出来ています。最初は様子見程度だった店舗様の私たちに対する期待値も今では大変喜んで頂いています。
 
私たちに限らず、日々の店舗運営にもこの期待値を意識した営業は大事になると思います。お客様は必ず何かを期待して来店されています。勝ち負けもありますが、機種構成や遊技環境、スタッフの接客など、期待値を飛び越えた人数が、今あなたの店舗に通ってくれるお客様の人数ではないでしょうか。
 
最後に、今、私たちは新たな試みにチャレンジしています。次回のブログはそのチャレンジに関連する「交渉」について書きたいと思います。
 

2017年を振り返る

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早いもので、今年もあと3日となりました。年末年始の営業準備に忙しいホール様も多いのではないでしょうか。年末にグランドオープンするホール様もあるみたいですね。
みなさまのホールはこの1年間いかがだったでしょうか。
さて、私たちもこの1年間活動を続けてきました。周りを見れば有名ライターの来店や取材日などのスロットをメインに施策を行い瞬発の集客と稼働を取りに行ったホール様が多い中、私たちを上手く利用し固定客を付けに行ったホール様の実際の数値を見ながら振り返りたいと思います。
 
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今年1年間の数値実績では3店舗で162回物販催事を開催。6400名を超えるお客様に参加して頂きました。また年間を通して催事1回あたり30,000円弱に仕入費用をコントロールできたことも、販売商品の選別から、各仕入業者様の協力もあって実現ができました。基本30名限定での販売になるので購入者1人あたり1000円を遊技台で使い切ってもらえれば催事費用は相殺できます。*①この設定は仕入費用のボトムラインと考え、それ以上のお客様の投資はホール様にアドバンテージとして残る設定です。
 
次に、A店の数値実績推移を細かく見ていきたいと思います。12月はまだ営業日が残っているので11月までの数値になります。
 
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また私たちの物販催事がお客様に認知され初めた5月からの数値をそれぞれ見ていきます。
 
まずは新規会員獲得数です。
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A店は毎月100名を超える会員獲得数があり、物販催事の日もしっかり新規会員様を獲得出来ていることが分かります。
 
次に月別の会員来店者数を見ます。
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5月の平均会員来店数から11月の時点で約80名の会員来店が増えています。
 
次に物販催事を行った曜日別の会員来店者数を見ていきます。
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土曜日も5月平均会員来店者数が11月の実績で81名増
 
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集客が弱い月曜日に開催したいというホール様の意向から始めた結果、11月時点で86名増
 
以上の数値で振り返りを行いましたが、A店では私たちを利用して増客に成功しています。
もちろんホール様の理解とスタッフさんの協力があっての結果です。またこの増客はただの顧客ではなく、間違いなくA店の贔屓客になっています。上値支持線を跳ね上げる施策も必要かもしれませんが、しっかり下値支持線を維持もしくは向上させる固定客が増えた事はA店の強みになります。
 
2017年も終わります。新年度はどのような店舗運営をお考えでしょうか。多額の投資が必要な有名ライターや取材を入れて瞬発的な上値支持線を取りに行く施策も良いと思います。また少ない投資で私たちのような施策を行い継続的に来店する固定客化をすすめ、下値支持線の維持向上を目的にする施策も良いと思います。各ホール様に合ったご提案を今後も継続して参ります。
 
最後に、今年1年間私たちの考えに共感して頂き、新たなコミュニケーションフィールドを提供して頂いた各ホール様には感謝致します。ありがとうございました。
2018年もパチンコ業界が盛り上がれるように微力ではありますがお手伝いさせて頂きたいと思っています。
 
*①仕入金額設定は、ホール様の貸玉レートに見合う設定と商品をご提案致します。
 

フリンジサービスで来店価値を高める

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私が今ハマっているドラマは、TBS系列で放送されている日曜劇場シリーズです。中でも「半沢直樹」や「下町ロケット」そして現在放映中の「陸王」です。すべて池井戸潤氏の原作です。「陸王」は老舗の足袋製造業者がランニングシューズの開発に挑戦する奮闘ぶりが魅力です。その第4話を見ている時、先日あるパチンコ店の店長さんと話していた内容を思い出したので紹介したいと思います。
 
まず陸王第4話では、マラソンランナーにシューズを提供する大手シューズメーカーが巨額の投資を行い最新技術とビッグデータを駆使してシューズを開発していきます。要はデータが全てという考えの基に開発が進められます。しかし、ランナーの走るフォームや足の具合を日々観察しながら、そのランナーに合ったシューズを提案するシューズカウンセラーという専門職の方が、体形や体調が日々変化する生身の人間が履くシューズをデータだけが全てと開発するシューズと会社に疑問を持ち・・・とドラマは進んでいきます。
 
新台を導入すればお客様が来てくれて、机上のデータだけで充分なパチンコ業界の景気が良い時代は確かにありました。でも今はどうでしょうか?新台を入れてもお客様が来ない店舗は結構あります。パチンコ店の商品は遊技機です。そのコア(核)となる商品をいかにお客様に楽しんで頂くかが大事になるのではないでしょうか。先日話したパチンコ店の店長さんは、以前はデータが全ての考えだったそうです。しかしお客様と向き合うようになってデータだけではお客様を満足させることは不可能だと気付いたそうです。お客様から回らないとクレームがあっても、以前は「データで見ると他の台より回ってるんだけど」と終わらせていました。しかし今では自分で玉を打ってみて、スランプの時間が結構長い事など、お客様がストレスを感じている部分が見えてきたと話していました。今では新台に限らずアウトが低い遊技台なども細かくチェックしていると言います。
 
よく数字は嘘をつかないと言われます。もちろん数字も大事ですが、その数字を作っているお客様をよく観察する事も、その数字の背景を把握することも今では大事になります。まさにシューズカウンセラー後者の考え方なのです。
 
前置きがすごく長くなりましたが、本題はここからです。
サービスの2本柱としてコアサービスとフリンジサービスがあります。コア(核)とは、お店が提供する価値本体のことでパチンコ屋であれば遊技台ということになります。フリンジとは、本体の価値を高めお客様に満足以上の感激、あるいは感動を提供する手段の事です。双方それぞれが重要な役割を持っています。イメージ的にはゆで卵を輪切りにした時の黄身がコアで、周りの白身がフリンジです。一般的にコアサービスは価格と連動すると言われ、その価値に対してお客様は対価を支払います。この構図がパチンコ店でも当てはまるかというとそうではないと感じています。しかしながら、パチンコ店のコアは遊技台でありお店に来てくれたお客様が遊技して初めて対価が発生します。まずはコアサービスをしっかり提供できなければならないのは当然のことですが、このコアサービスだけでは当たり前の顧客満足までにしか至りません。
一方、フリンジサービスが優れているとお客様に喜びや感動を提供できる場合があります。また、せっかくコアサービスが優れているのに、フリンジサービスがダメだとお客様に不満足を提供してしまう可能性もあります。
 
では、自分のお店でフリンジサービスといえば何でしょうか。確定した正解はありません。最近、新規会員が取れない、会員リピート率が低いと相談を受けます。遊技台に向き合う時間が長く顧客との接点が少ないパチンコ店の場合、フリンジサービスの層が薄いと贔屓客も作りにくいのです。
 
ここで、私たちがホールで行う物販催事について考えてみます。私たちは単に旬の果物や肉・魚を販売している訳ではありません。私たちは参加してくれるお客様一人ひとりのご家庭で、買った商品を家族みんなで食べたり「美味しいね」と言い合ったり、そのような家族団欒の背景を創造しながら商品を選定し、またそのようなお話をお客様とコミュニケーションを取りながら提供しています。その価値に共感して頂いたお客様からは「前回買った干物、家族みんな美味しいって言って食べたよ」など、嬉しいお言葉を多く頂いています。お客様に対して心に触れるようなサービスを提供し、贔屓客になってもらう機会を提供しています。
現に私たちを利用しているホール様では新規会員獲得数や会員リピート率など大きく増客に成功しています。
 
コア・フリンジの双方が大切と上でも書きましたが、どんな業種業界でもコアサービスで売上利益を作ることに間違いはありません。そこに行きつくまでのプロセスにフリンジサービスを通して考えてみる事も必要かもしれません。お客様の来店動機形成には、コア以外でも作れる可能性は大いにあるのですから。